フェンスと隣地境界の関係
当店への外構工事・設計のご依頼は、新築・リフォーム問わず頂いています。
新築の場合は、設計段階で隣地境界について工務店やハウスメーカーと打ち合わせの中で明確に扱いを決めていくと思いますが、リフォームの場合は問題が起こる場合があります。
目隠しフェンスを付けたいだけなのに・・・
いざリフォーム施工しようとした時に諸所長引いてしまわない様、早いうちにご自身の土地の敷地境界について調べてみることはとても大切なステップです。
このブログでは、隣地境界とフェンスについて、詳しく解説したいと思います。
★CONTENTS★ ◆既存フェンスや塀の位置が境界線? ◆まとめ |
既存フェンスや塀の位置が境界線?
新興分譲地で新築する、または建売を購入する場合、売り出し前に隣地境界は明確に測量の上で決定されています。なぜなら、敷地面積や敷地の形状は販売価格にダイレクトに影響するからです。それ以前に設計時に建蔽率などが関わるため、きっちりしていないと設計できなかったり建築確認申請が通らなかったりするのです。
ですが例えば親・親族から受け継いだ既存家屋や、お隣の所有者が変わったことがある家屋のリフォームの場合、隣地境界線の認識がお隣と異なっている場合があります。お隣との相談で塀やフェンスを共有している場合は特に注意が必要です。
塀やフェンスが隣地境界上にある場合
昔からある家屋の場合、既存の塀やフェンスを設置した時に協議で様々取り決めているはずなのですが、その後所有者が相続や売買で変わったなどの事情で取り決めがあやふやになってしまっていて、いざと言うとき揉め事になってしまうことが多々あります。
もしくは、新築時には設置しなかった塀やフェンスを、一方が後で追加している場合もあります。その際、越境しておらず自分の敷地内に設置していると思い込んでいることも考えられます。
通常、隣地境界上に共有の塀・フェンスが設置されている場合は、折半や協議の上の割合で費用負担したと考えられるため、共有者に通知せず勝手に取り壊してリフォームするのは難しいと言えるでしょう。必ずリフォームをしたい旨を共有者へ相談しなければなりません。
また一方が自分の敷地内だと勘違いして構造物が越境している場合は、明確に対応を協議する必要があります。
例えば、元々は植栽で仕切っていたが後から植栽を取っ払って塀・フェンスを設置した場合など、隣地境界がうやむやになり越境している場合があります。
塀やフェンスが一方の敷地内にある場合
そして一番注意するべきなのは、隣地境界をまたがずに一方の敷地内に塀・フェンスが設置されている場合です。
この場合塀・フェンス所有者の敷地内に設置されていれば良いのですが、例えば「この塀・フェンスの所有者はこちらで、うちの敷地内に建てたんだ!」と、あなたの敷地内に建っている構造物についてお隣さんが主張してきたとします。あなたは相続でこの土地・家屋を取得したため、詳細に把握できていません。
この場合、
-
本当に塀・フェンスの所有者はお隣さんで、このまま一定の時間現状を維持することであなたの敷地の一部をお隣さんに取得されてしまう
こうなる可能性があるため、大変危険です。
どういう事かと言うと、民法に「時効取得」と言う制度があり、他人の物や権利を自分のものと信じて一定の期間公然と(隠すことなく)平穏に(脅したり騙したりせず)占有(使ったり管理したるする)すると、その所有権を取得できてしまうのです。つまり「時効取得する方が実質的に所有している体になっており、取られた方は長年放置して抗議も管理もしなかったのだから仕方がない」と言う判断になるのです。
時効取得する側は「取られる側の物だと知らない(善意)」事が基本ですが、本当は悪意(取られる側の物だと知っていた)だったとしても占有年数次第で時効取得は可能なため、隣地境界をきちんと把握しておく事の重要さがお分かりいただけると思います。
隣地境界の確定方法
隣地境界の確認をおろそかにすると大変だと言う事はお分かりいただいたと思います。
では、どうすれば良いのか?を見ていきましょう。
一言でいうと、【土地家屋調査士に境界確定を依頼する】一択です。
境界は「筆界」とも言い、境界線は土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり,所有者同士の合意などによって変更することはできません。これを資料や測量から明確にすることを「筆界確定」と言い、土地の範囲・境界線を明確にするためには必要な作業です。
将来売買や相続するときに必ず必要になるものでもあります。
そしてこの「筆界」は、ここまで書いたとおり、実際に建っている塀やフェンスの位置と一致していないことが、多々あるのです。
余談ですがなぜ「筆界」と呼ぶのかと言うと、土地の数え方はまず「1筆、2筆」です。なぜ筆と数えるのかは、有力な説としては豊臣秀吉の時代、太閤検地で検地帳に所有者や測量結果などを1行で書き記したから、とされています。
土地の界(区切り、境目)だから「筆界」なわけですね。
江戸時代の検地帳。現在の兵庫県明石市で記録されていた検地帳を昭和に刊行したもの。 |
1つの土地の検地情報はまさに「一筆」一行。 |
画像出典:国立国会図書館デジタルコレクション
土地家屋調査士に筆界確定の依頼をすると、
- 資料調査
- 測量
- 計算
- 仮の境界目印の設置
- 隣地所有者の立ち合い
- 境界標の設置
- 筆界確認書の作成、隣地所有者と取り交わし
上記のような流れで進み、費用は筆界確定したい土地の状況により異なり40~80万円程が一般的のようです。
まとめ
現代の測量はドローンで空中から可能に
土地や所有権の事は一見難しそうに見えて面倒くさく感じてしまいますが、逆にこう考えてみませんか?
土地や所有権・境界については様々法律で明確に決められているため、「法律に従って情報を明確にすれば、簡単で困ることはない」と。
調べたり専門家に依頼したりと時間と費用が多少なりともかかるのは事実ですが、明確に把握しないままで将来的に揉め事や問題が起こってしまう方が、莫大な時間と費用を浪費することになりかねません。
またいざ急いでフェンスや塀を設置したいとなった時も、一から調べていたら思っていた期間で完了できないもどかしさを生んでしまいます。
リフォームを将来行うことを考え、現在筆界が明確に解らない方はぜひ対策してみてください。
★この記事を読んで
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